夏の終わりの恋物語 【上】

 


■ 夏の終わりの恋物語 〈上〉 2003/9/5(Fri)



毎年訪れている葉山の知りあいの保養所はホテル並の綺麗さで、


オシャレなラウンジからは葉山の海が一望できた。




そこには毎年大学生のアルバイトの男の子たちが料理の手伝いや掃除などをしながら


海で遊んだり夏休みのひとときを楽しく過ごしていたのだった。





前の年この浜辺で恋をしたっけ・・・♥





そんなことを思いながら親友のミドリと一緒に8月29日から二泊でここ葉山に遊びにきていた。





ロビーにいる保養所の知り合いのおじさんが私たちに声をかけてきた。




「今夜2階のラウンジでバイトの子たちと飲み会するから鮎ちゃんたちもおいでよ」




おじさんも参加するということなので私たちは安心して夜ラウンジに出かけていった。



大学生の男の子たちが10人近く既にお酒がはいっているようで、とても陽気に迎えてくれた。



自己紹介を一通り終えた後、隣に座った大学四年生の愛称「マイケル」は



銀縁のメガネをかけていて背の高い優しそうな好青年だった。




しばらくすると




お風呂あがりなのかバスタオルを肩にかけながら上半身裸でラウンジに入ってきた青年がいた。




その彼が私と恋に落ちることになる彼なのだが、



私よりも2歳年下の18歳。



大学一年の彼のサラサラの濡れた髪の毛とたくましい上半身が



彼の幼い顔の雰囲気とミスマッチしてなんだかとってもセクシーに見えた。




そしてその次の朝



朝食を終えた私とミドリはプールのそばで卓球をして遊んでいた。




そこに昨日の大学4年のマイケルと大学1年の18歳がやってきて一緒に卓球をすることになった。





勝負となったら真剣になる私は夢中で球を追っていた。




卓球は もはや遊びじゃなかった。




彼らを何度も負かして勝ち点を取った。




「オレさぁ~何かに一生懸命な人って好きなんだ。


 それに自分より何かが強い人っていうのも好きなんだぁ~」




18歳の彼が、そう言った。




― おお、この子はまさに私のことを好きと言っているな? ―





自分に何でも都合よく考える私はそんなことを思っていた。





「今夜、ドライブ行かない?観音崎まで車でけっこう近いんだよ。


 この前もココに来た女の子たちを連れて行ってあげたことあるけど


 星がすごく綺麗に見えるいい場所があるんだ。」





銀縁のメガネを指先でなおしながら マイケル が言った。




ミドリと相談して彼らが不真面目風ではないので行ってみようかということになった。





そしてその夜夕食を終えると私たち4人は


マイケルが運転する白いスカイラインに乗って


観音崎へ向かって行った。





助手席にはミドリが座り 18歳の彼と私は後ろに座った。




その時、彼らが学生証を見せてくれた。




2人は T大学の法学部4年 と 経済学部1年で



同じスキー部の 主将と後輩 ということだった。






対向車の車のライトが時折彼らの顔を照らす。




運転席の斜め後ろの座席からは先輩マイケルの横顔が見える。




すっとした顔立ちに銀縁メガネの彼はいかにも秀才風だった。





18歳の彼の名前は 「神部元紀」 愛称ゲンキ。



ゲンキの顔をまじまじと見たのだが



誰かに似ている・・・・なんだろう・・




・・・あ・・・




オバQ だ




目が顔の両端の方に離れていてタレ目で、


笑うと口が耳くらいまで裂ける。


笑った後なかなか閉まらないだらしない口元。




でも、そんなオバQ顔の彼のことが気になってしかたなかった。





そして観音崎に到着してから私とゲンキは急速に恋人への階段を昇っていくのだった。



                      つづく 

  


     次回 ―真夜中の○○○―


             おっ楽しみに(≧∇≦)ъ 






注:タイムマシーンは過去に戻って記憶をたどり事実に基づいたホントのことを書いていますが

登場人物は架空の名前です。